先物取引の仕組み

先物取引の仕組み

~1.概要~

先物取引とは、①特定の商品を、②将来の定められた日に、③あらかじめ定めた価格で売買することを現時点で約束する取引です。先物取引の契約により、買方は売方より期限日に対象商品を約定価格で購入する義務を負います。反対に売方は買方に対象商品を約定価格で売却する義務を負います。

 

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上記、契約締結後、8/20に先物価格96円で差金決済を行った。差金決済とは96円で買戻し、100円で売り渡す反対売買により差益4円を受取る決済方法のことをいいます。

世界で最初に制度化された先物取引は、18世紀前半に我が国の大阪での堂島米市場で行われた「帳合米商い」と言われています。気候等の影響が生産物の価格に反映される農産物等の先物取引では、価格変動リスクを回避するために生まれました。
先物取引の目的は、価格変動リスクの回避目的で行う先物取引(ヘッジ取引といいます)以外に、高い収益を得るための投機目的で行う先物取引スペキュレーション取引といいます) や、先物と現物又は先物先物間の価格の乖離をとらえて収益を得る目的で行う先物取引裁定取引といいます)等があります。
~2.特徴~

(1)反対売買による決済

先物取引では買方は対象商品価格が上昇すれば利益が発生し、反対に下落すれば損失が生じます。売方は対象商品価格が上昇すれば損失が発生し、反対に下落すれば利益が生じます。先物取引は期限日前に買方は転売、売方は買戻し(反対売買といいます)で決済することができます。
(2)取引の標準化

先物取引は多くの投資家が同一の取引に参加することができるように商品の種類、取引単位等の諸条件がすべて取引所において標準化されています。
(3)証拠金制度

顧客が先物取引を行う場合には、取引の安全性を確保するために金融商品取引業者等に取引を行った日の翌営業日に証拠金を差し入れなければなりません。また証拠金制度の補完として値洗い制度を導入しています。値洗い制度とは、建玉を毎日の清算値で評価替えし、日々、評価差損益の授受を行う制度です。
建玉とは、未決済になっている契約の総数のことをいいます。
~3.種類~

先物取引金融商品取引法において、対象商品及び期限日の決済方法の違いによって有価証券先物取引と有価証券指数等先物取引の2つに大別されます。

 

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日本で最初に導入された金融先物取引は、長期国債先物です。その後、多くの金融先物取引が取引所に上場されました。現在、日本の取引所に上場され、金融商品取引業者等が取り扱うことのできる主な金融先物取引は下記のとおりです。

 

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~4.先物価格の形成~

先物価格は、期限日の現物価格を表します。先物の期限日が到来すると先物は現物になります。このように先物価格は現物価格と密接な関係を持っています。つまり、先物の理論上の価格は、今、現物を取得するために必要な資金を借りてきたと仮定すると、その資金に借入利息を加算した金額から現物を取得することによって得られる収入(株式なら配当金、債券なら受取利息)を差し引いた金額になると推定されます。もちろん、先物の理論上の価格はあくまでも理論価格であって、現物価格通りに動くとは限りませんが、通常は先物の理論価格は下記の計算式で算定されます。

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~5.先物取引信用取引の相違~


先物取引と先述の信用取引には、証拠金制度及び値洗い制度の採用等において類似しているところがあります。しかし、下記の2点において両者の本質的な部分において異なっています。
(1)貸借関係の相違

信用取引の買方は金融商品取引業者から代金の融資を受け、売方は金融商品取引業者かから株式を借りて売買を行います。先物取引はそのような貸借関係は存在しません。
(2)価格付けの相違

信用取引では現物市場において取引が行われますので、信用取引の価格と現物取引の価格は同一のものとなります。しかし、先物取引では現物市場とは異なる先物市場で取引が行われますので、先物取引の価格と現物取引の価格は別々のものとなります。