第2節オプション・プレミアムの価格形成と特性

第2節

オプション・プレミアムの

価格形成と特性

~1.プレミアムの価格形成~

コール・オプションのプレミアムを売方から見た場合、原証券価格が行使価格を超える可能性が高まれば、買い手によって権利行使されるリスクが高まるため、プレミアムを高く設定します。また、満期日までの期間が長ければ長いほど、原証券価格の動きがより不確定になりますので、プレミアムを高く設定します。原証券価格と行使価格の差額分の価値のことをイントリンシック・バリュー(本質的価値)と呼びます。また、満期日までの長さや原証券価格の変動性の大きさ等の価値をタイム・バリュー(時間価値)と呼びます。

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(1)本質的価値

権利行使価格と原証券価格との差のことを本質的価値といいます。例えば、コール・オプションにおいて行使価格が1,000円、原証券価格が1,200円であれば、本質的価値は200円となります。

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(2)時間価値

権利行使期間において利益が生じる期待値のことを時間価値といいます 。満期日までの長さ、原証券価格の変動性の大きさ及び金利や配当率によって決定されます。
~2.プレミアムの特性~

(1)原証券価格との関係

コール・オプションの場合、原証券価格が上昇すれば、行使価格を超える可能性が高まりますので、プレミアムも高くなります。

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(2)権利行使価格との関係

コール・オプションの場合、行使価格が高ければ、原証券価格が行使価格を超える可能性が小さくなるため、プレミアムは低くなります。

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(3)満期日までの長さとの関係

コール・オプション及びプット・オプションとも、満期日までの残存期間が短くなるほど原証券価格が行使価格を超える可能性が小さくなるため、プレミアムは低くなります。

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(4)原証券価格のボラティリティ(価格変動性)との関係

満期日までの期間において、原証券価格が10円変動するよりも100円変動する方が、権利行使価格を超える可能性が高まります。よって、コール・オプション及びプット・オプションとも原証券価格のボラティリティが上昇すれば、プレミアムも上昇します。

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(5)短期金利との関係

短期金利が上昇した場合には、コール・オプションの価値は上がります。それは資金を借り入れて原証券を購入した場合に借入利息が生じますが、コール・オプションを購入した場合には、権利行使日まで資金を必要しないためにその間の借入利息負担が発生しないことによります。反対にプット・オプションの場合には、短期金利が上昇した場合には、プット・オプションの価値は下落します。それは、原証券売却時にはその売却資金を運用することで金利収入を得ることが出来ますが、プット・オプションの場合には、売却資金を手にすることができませんので、金利収入分の差がプット・オプションの価値に反映されるからです。

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