第3節オプションの利用方法

第3節

オプションの利用方法

~1.オプションの基本型~

(1)コールの買い(ロング・コール)

原証券の市場価格が上昇すると予想する時の戦略です。予想通りに市場価格が上昇すれば上昇するほど利益を獲得することができます。仮に予想に反して市場価格が下落しても当初支払ったプレミアム分の損失に限定されます。
(2)コールの売り(ショート・コール)

原証券の市場価格がやや軟化すると予想する時の戦略です。利益は当初受取ったプレミアム分に限定されます。仮に予想に反して市場価格が上昇すれば上昇するほど損失が拡大します。
(3)プットの買い(ロング・プット)

原証券の市場価格が下落すると予想する時の戦略です。予想通りに市場価格が下落すれば下落するほど利益を獲得することができます。仮に予想に反して市場価格が上昇しても当初支払ったプレミアム分の損失に限定されます。
(4)プットの売り(ショート・プット)

原証券の市場価格が緩やかに上昇すると予想する時の戦略です。利益は当初受取ったプレミアム分に限定されます。仮に予想に反して市場価格が下落すれば下落するほど損失が拡大します。

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~2.ストラドル・ストラングル~

(1)ストラドルの買い(ロング・ストラドル)

ストラドルの買いは、同じ権利行使価格のコール・オプションとプット・オプションを組み合わせて同じ量だけ購入します。重要な経済指標の発表や選挙前など、その結果によって相場が大きく変動すると予想されるときに利用する戦略です。
《例》買いのコール・オプション、買いのプット・オプションともプレミアムが10円、権利行使価格が1,000円とした時の損益線は下記のようになります。

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市場価格が上下どちらかに大きく変動することで利益は拡大します。予想が外れて市場価格の変動がない場合においても、最大損失はコール・オプション及びプット・オプションの2つのプレミアム分に限定されます。
(2)ストラドルの売り(ショート・ストラドル)

ストラドルの売りは、同じ権利行使価格のコール・オプションとプット・オプションを組み合わせて同じ量だけ売ります。市場価格が小動きになると予想されるときに利用する戦略です。
《例》売りのコール・オプション、売りのプット・オプションともプレミアムが10円、権利行使価格が1,000円とした時の損益線は下記にようになります。

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市場価格が小動きに変動すればコール・オプション及びプット・オプションの2つのプレミアム分の利益を最大獲得することができます。予想が外れて市場価格が大きく変動した場合の損失には限度がありません。
(3)ストラングルの買い(ロング・ストラングル)

ストラングルの買いは、異なる権利行使価格のコール・オプションとプット・オプションを購入します。市場価格が大きく変動すると予想されるときに利用する戦略です。ストラドルと似ていますが、行使価格が異なったオプションの組み合わせのため、ストラングルの方がコストが安くなります。

《例》権利行使価格が1,010円のコール・オプションを買い、権利行使価格が990円のプット・オプションを買いました。プレミアムはどちらも10円の時の損益線は下記のようになります。

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市場価格が上下どちらかに大きく変動することで利益は拡大します。予想が外れて市場価格が2つの行使価格の間に入った場合の最大損失はコール・オプション及びプット・オプションの2つのプレミアム分に限定されます。
(4)ストラングルの売り(ショート・ストラングル)

ストラングルの売りは、異なる権利行使価格のコール・オプションとプット・オプションを売ります。市場価格が小動きに変動すると予想するときに利用する戦略です。行使価格が異なるため、市場価格が大きく動かない限り損失を出すことも少なくなります。

《例》権利行使価格が1,010円のコール・オプションを売り、権利行使価格が990円のプット・オプションを売りました。プレミアムはどちらも10円の時の損益線は下記のようになります。

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市場価格がコール・オプション又はプット・オプションの行使価格の間になれば2つのプレミアム分の利益を最大獲得することができます。予想が外れて市場価格が大きく変動した場合には、損失は拡大します。
~3.バーティカル・スプレッド~

(1)バーティカル・ブル・スプレッド

バーティカル・ブル・スプレッドは行使価格の異なった2つのコールを用いる①バーティカル・ブル・コール・スプレッドと行使価格の異なった2つのプットを用いる②バーティカル・ブル・プット・スプレッドがあり、市場価格がやや上昇すると予想されるときに行われる戦略です。いずれも上値を追わず、損失を限定する戦略になります。

バーティカル・ブル・コール・スプレッド
権利行使価格の高いコール・オプションを売り、権利行使価格の低いコール・オプションを買います。

《例》権利行使価格が980円のコール・オプションをプレミアム20円で買い、権利行使価格が1,010円のコール・オプションをプレミアム10円で売った時の損益線は下記のようになります。

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バーティカル・ブル・プット・スプレッド
権利行使価格の高いプット・オプションを売り、権利行使価格の低いプット・オプションを買います。

《例》権利行使価格990円のプット・オプションをプレミアム20円で買い、権利行使価格1,030円のプット・オプションをプレミアム50円で売った場合の損益線は下記のようになります。

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(2)バーティカル・ベア・スプレッド

バーティカル・ベア・スプレッドは行使価格の異なった2つのコールを用いる①バーティカル・ベア・コール・スプレッドと行使価格の異なった2つのプットを用いる②バーティカル・ベア・プット・スプレッドがあり、市場価格がやや下落すると予想されるときに行われる戦略です。

バーティカル・ベア・コール・スプレッド
行使価格の高いコール・オプションを買い、低いコール・オプションを売ります。市場価格がやや下落すると予想するときのポジションになります。

《例》権利行使価格が1,030円、プレミアムが20円のコール・オプションを買い、権利行使価格が990円、プレミアムが50円のコール・オプションを売った時の損益線は下記のようになります。

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バーティカル・ベア・プット・スプレッド
行使価格の高いプット・オプションを買い、低いプット・オプションを売ります。

《例》権利行使価格が1,020円、プレミアムが20円のプット・オプションを買い、権利行使価格が990円、プレミアムが10円のプット・オプションを売った時の損益線は下記のようになります。

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